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パニック障害とは

パニック障害(パニックしょうがい)は、強い不安感を主な症状とする精神疾患のひとつで、パニックディスオーダー(panic disorder)とも呼ばれます。
panic disorder からPDと略記される場合もあります。
ある日突然、めまい、心悸亢進、呼吸困難といった自律神経の嵐のような症状とともに激しい不安が発作的に起こる病気です。
医師の診断を受けても身体的にはどこも異常なところは発見されません。
従って不安神経症とかうつ病と診断されることが多く、一般医からは自律神経失調症、心身症、心臓神経症、過呼吸症候群、心室性頻脈、狭心症、メニエ-ル症候群、過敏性大腸炎、と診断されていることが多い状態です。  
1960年頃、米国のクラインという精神科医が、当時「不安・恐怖反応」と診断していた一群の患者にイミプラミンといううつ病の薬を投与したところ、10人中10人ともいわゆるパニック発作が消えてしまったのを観察しました。
これが研究の出発点となり、1980年に米国精神医学会の分類で「パニック障害」という病気としての概念が公にされました。
パニック障害は100人に1人ぐらいの割合で起こる病気です。
欧米諸国では男性1人に対し女性が2人以上の割合で発症するといわれていますが、日本では男女ほぼ同じくらいの割合で発症しています。
発症年齢は男性では25歳から30歳位にピ-クがあり、女性では35歳前後の発病が最も多くみられています。
かつては全般性不安障害とともに不安神経症と呼ばれていましたが、1980年に米国精神医学会が提出したDSM-IIIで診断分類の1つに認められ、1992年には世界保健機関 (WHO) の国際疾病分類(ICD-10)によって独立した病名として登録されまし

★パニック障害の原因

1.脳内不安神経機構の異常
パニック障害の原因は完全には解明されていませんが、最近では「脳内不安神経機構の異常ではないか」と考えられています。
ヒトの脳には無数の神経細胞(ニューロン)があり、その間を情報が伝わることで運動や知覚、感情、自律神経などの働きが起こります。
パニック発作や予期不安、恐怖などもこの脳の機能のあらわれで、そこに何らかの誤作動が生じるために起こっていると考えられるのです。
神経細胞間の情報を伝える化学物質(神経伝達物質)やそれを受けとめる受容体(レセプター)の機能の異常が関係しているのではないか、という研究が進められています。

2.ノルアドレナリン仮説
脳の青斑核という部分では、ノルアドレナリンという神経伝達物質を分泌し、危険が迫ったときに警報を発動する神経が作動するようになっています。
パニック障害の場合、このノルアドレナリンの過剰分泌あるいはレセプターの過敏が起きているのではないかと考えられています。

3.セロトニン仮説
ノルアドレナリンにより引き起こされる不安感がいきすぎないよう抑える働きのあるセロトニンという神経伝達物質が、不足したりまたはレセプターが鈍くなっているためではないか、という説です。
またセロトニンの過剰によるとする説もあります。

4.ギャバ・ベンゾジアゼピン仮説
不安を抑える働きのある神経伝達物質のギャバのレセプターや連結しているベンゾジアゼピン・レセプターの感受性に問題があるのではないかという説です。

5.遺伝体質やストレスとの関係 パニック障害の患者の家系にはパニック障害やうつ病、アルコール依存症などの発症率が高いとされています。
うつ病やアルコール依存症も根底には不安が関係しており、不安を持ちやすい体質が何らか関連しているのではないかと考えられます。
ストレスとの関係は明らかにはなっていませんが、体質に加えストレスの多い環境や幼児期のつらい体験などの後天的な要素により発症するのではないかと考えられています。

6.身体因性
現在の主流としては心因性ではなく身体因性ととらえられています。
「幼児期の体験など過去のトラウマや性格的なもの」に注目する考え方は最近では少なくなり、発症や悪化の誘引としてストレスなどが関係していることは否めないが、原因はあくまでも脳内不安神経機構の異常という生物学的なもので、ストレスで壊した胃を薬で治療するように、パニック障害も治療するのが対処としては有効であると考えられています。

★パニック障害と食生活について

パニック障害の誘因として低血糖症や食生活の乱れを指摘する説があります。
ジャンクフードや糖分の摂りすぎなど食生活の乱れからインシュリンが大量に分泌されるようになり低血糖症を起こしパニック障害の誘因となると考えられています。 
パニック障害を誘発するものとして以下のようなものが考えられます。
・コーヒー(カフェインがノルアドレナリンを促す)
・タバコ(ニコチンの抗不安作用のリバウンド)
・アルコール(アルコールの抗不安作用のリバウンドなど)
・咳止め:エフェドリンや気管支拡張薬(ノルアドレナリンのレセプターを刺激)
・経口避妊薬(女性ホルモンが不安を喚起) ・ヒロポン、コカインなどの覚せい剤
・低血糖(低血糖は不安を増強)
・疲労(疲労物質である乳酸との関連)
・睡眠不足・過呼吸(二酸化炭素の上昇などが過呼吸を引き起こす)
・蛍光灯(ピカピカするフリッカー効果との関連) など

「パニック障害」の発作は非常につらく、とても怖いものですが、この病気で命を失うことはありません。 
きちんと治療をすれば寛解(病気そのものが治ったわけではないが、症状は完全に出ない)する病気であることを患者自身がきちんと理解してください。
治療は「パニック発作」を抑えることが第一の目的です。  
現在一番望ましい治療法と言われているのは、薬によって生物学的基盤に働きかけパニック発作と二次的症状の抑うつ反応の緩和する「薬物療法」と、予期不安・広場恐怖の改善をねらった「行動療法」を組み合わせて行うのが、有効性が高いとされています。  
パニック障害は、脳の中のいろいろな変化によって起こる事は確かなのですが、この病気は日常での暮らしのさまざまな問題とも深くかかわっています。 
従って暮らしの問題も解決しないとなかなか良くなりません。 
一人一人の患者さんの問題で、その病気のもつ意味をとらえて、患者さんにあった治療を行う役割を負っている訳です。
 「パニック障害」は早く診断され、早急に治療ができるならば「抗不安薬」という薬があります。 
とくにパニック発作と予期不安の時期、病気が始まって1ヶ月位の間に治療を開始すれば効き目は高まります。  
病気が進むと「抗不安薬」だけでなく「抗うつ薬」も必要になります。  

パニック発作を経験すると、また、今度パニック発作を起こすのではないかと不安な状態になります。 
これを「予期不安」といいます。 
あの恐ろしいパニック発作がまた起こるのではないかと思って、動悸がしたり、胸が苦しくなったり、吐き気をもよおしたり、汗をかいたり、手足が震えたり、しびれたり、変な感覚になったり中にはこのまま気が狂ってしまうのではないかと感ずる様になります。 
パニック発作が起きて、救急車を呼んで医者の所に行くと、ついた頃にはだいたい発作はおさまってしまい、医者に病気では無いと言われるのはいいのですが、患者さんには症状があるので、また発作が起こるのではないかと考えるだけで怖くなってきます。  
実際に発作が起こっていないのに、予期不安だけで動悸が起こったりするような場合も、パニック障害と診断される事があります。
予期不安がこうじると、今後は「広場恐怖」を招きます。  
広場恐怖とは、パニック発作、あるいはパニック障害の症状が、予期しないでまたは、状況に誘発されて起こった時、逃げることが困難であるかもしれない場所、助けが得られないかもしれない場所にいる事、恥ずかしい思いをしそうな場所にいることへの不安を感じ、しだいにその場所に行く事に恐怖を持ち、避けようとする行動をとるようになることです。  
広場恐怖が起こりやすいのは、電車や車、飛行機などでの移動中、エレペーターの中、橋の上、会議室や美容院です。  一方、ある一定のシチュエーション、たとえば家の外や家の中で、たった一人きりでいる時や、単独で列に並んでいる時などに起こる事もあります。  
単独でいる事を非常に恐れ、いつもだれかと行動をともにしたがったりする人もいます。 
パニック障害の患者さんのほとんどに、この広場恐怖がみられ、症状が進行するにつれてしだいに広場恐怖の程度も深刻になっていきます。  
初期のうちは、外出がおっくうであっても必要ならば外出する事ができます。 
しかし、しだいに一人で外出する事ができなくなり、さらに進むと引きこもりのような状態になって、つきそいの人がいなければ一歩も外に出る事ができなくなってしまいます。  
適当な治療をしない場合、広場恐怖はさらに進行して長時間続くことになります。  
こうした状態を「広場恐怖」「外出恐怖」「乗物恐怖」といい、社会性が非常に落ちます。 
学校に行けないとか、会社にいけないという事になりますと、これは社会的に大きな問題です。

★家族や周囲の対応

周囲の人も病気について理解してあげることが必要です。
身体に異常がなくとも激しい症状が起きる病気があるということを認識しましょう。
また仮病や気の持ちようで治るものではなく、治るまで時間がかかることもあることを理解しましょう。
発作が起きた時、周囲が騒ぐと本人の不安が増します。
楽な体勢にさせてやさしく声をかけたり身体を摩ったりして落ち着かせ、「すぐに治まる」と安心させます。 
広場恐怖があると一人で電車に乗ったり街中を歩くことが困難な場合があります。
通院や暴露療法などの治療で必要な際には同行してあげましょう。
また、正しい食生活など日常的なサポートも大切です。
パニック障害はうつ病を併発することがあり、またパニック障害が治ってきた頃に発症することもあります。
適切な対応ができるよう早く気づいてあげることです。

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